当クリニックのストレス・うつ・不定愁訴専門外来のご案内です。
(1) 精神科では
原因不明の身体的な異常(不定愁訴:ふていしゅうそ)を突きつめて行くと精神疾患に行き当たる場合があります。
当院精神科では、不定愁訴を精神疾患ではないかという観点からで検査をすると共に、当該精神疾患の治療を行います。
(2) ストレス・うつが原因である場合について
検査の結果、身体の異常がストレスによるものであった場合には、当該ストレスが原因で引き起こされるさまざまな症状の改善を目指し、ストレス、うつに対処していきます
ストレスによるうつ病について
人は誰でも、生活の中の色々な出来事やストレスをきっかけに、気持ちが落ち込んだり憂うつな気分になったりすることがあります。しかし、こんな時も、原因が解決したり、あるいは解決しなくても、気分転換をしたり、時間が過ぎることで、自然に回復します。
ところが、原因が解決しても気分がひどく落ち込んだり、何事にも興味を持てなくなったり、おっくうだったり、なんとなくだるかったりして強い苦痛を感じ、普段どおりの生活を送ることが難しくなるような状態のことを、うつ病といいます。
うつ病には、気分の落ち込み、憂うつな気分など「抑うつ気分」と、それに伴って意欲や行動も低下する精神的症状があります。また、肩凝りや不眠、倦怠感などさまざまな身体的症状を伴うことも少なくありません。
うつ病は、気の持ちようや心の弱さといった単なる心の問題ではなく、脳の中の神経の伝達がうまくいかなくなるなどの機能の異常によって起きる病気であり、きちんと医師の診察を受け、適切な治療を受ければ治すことができる病気です。
うつ病の症状
うつ病の症状には大きく、心の症状=「精神症状」とからだの症状=「身体症状」があります。気分の落ち込みなどの精神症状だけでなく、身体の調子も悪くなるのがうつ病の特徴です。身体症状は、精神症状に比べるとわかりやすいものですが、不眠と頭痛、食欲低下など、複数の症状が折り重なって見られることも少なくなく、うつ病が原因で起きているとは思わず、病院で検査をしても原因がわからない・・・ということがよくあります。
症状は、朝方から午前中にかけて強く出て、夕方にかけて回復するのが特徴です。
(1)精神症状
典型的な症状は以下の3つです。
- 抑うつ気分
- ・気分が落ち込む
・憂鬱
・悲しい気持ちになる
・なんの希望もない - 意欲の低下
- ・今まで好きだったことや趣味に対してやる気が出ない
・友人や家族と会ったり、会話するのが面倒になる
・何をするのもおっくう
・身だしなみやオシャレに関心がわかない - 思考力の低下
- ・頭がさえない
・集中力が低下し、仕事の能率が落ちる
・些細な判断・決断ができない
・注意力が散漫して、人の言うことがすぐに理解できない
(2)身体症状
睡眠障害、疲労感・倦怠感が代表的ですが、その他さまざまな症状がみられます。
- 睡眠障害
- ・眠れない
・夜中に何度も目を覚ます
・寝た気がしない
・朝、目覚ましよりも早くに目が覚める - 疲労・倦怠感
- ・からだがだるい、重い
・疲れがとれない、疲れやすい - 食欲の低下
- ・食欲がない
・食べるのが面倒なうえ、おいしく感じない
・ダイエットはしていないのに、体重が急に数キロも落ちる - ★ホルモン系の異常
- ・性欲減退
・生理不順 - ★その他の症状
- ・頭痛、頭重感
・肩こり、背部通、手足の関節などさまざまな部位が痛む
・便秘や下痢
・胃の痛み
・発汗・動悸、息苦しさなど・・・
うつ病の診察・診断
うつ病の診断の基本は、医師との対話です。うつ病の診断の中心は問診で、症状、ストレスになるような生活の中の出来事、他の病気、自分の性格、家族のことなどを詳しく聞きます。患者さんが自分では気がついていない隠れた症状が見つかることもあります。
症状とその程度を調べるために診断マニュアルやチェックリストを使うこともあります。症状について、いくつかの項目の質問に答え、当てはまる項目数などで、うつ病であるかどうか、症状の重さはどれくらいかを調べます。そして病院では、患者さん本人からだけでなく、ご家族の方も診察に同席することをおすすめしています。理由は、うつ病の原因を探るのに、より多くの情報を得るためと、早期回復にはご家族の方の理解や治療への協力が必要になるからです。
また、他の病気が原因でうつ病が現れることもあるので、内科的な検査を行い、他の病気が隠れていないかみることもあります
これらの情報を総合して、うつ病の診断を行います。
世界的な診断基準DSM-Ⅳ
米国の精神医学界の診断基準で、うつ病を含めた精神疾患の診断がつけられるマニュアルです。診断方法は、下記の9項目の症状のうち、5つ以上当てはまればうつ病の疑いが強いといわれます。
うつ病の種類
一言で「うつ病」といっても、その症状の程度や現れ方はさまざまで、何種類かのタイプに分けられます。専門的には、細かく複雑に分類されているので、ここではいくつかご紹介しましょう。
単極型うつ病
躁うつ病の70%以上がこのタイプで「大うつ病」とも呼ばれます。
抑うつ気分、興味・喜びの喪失のいずれか1つを含む5つ以上の症状が2週間以上続けば、
これと診断されます。極型うつ病では、うつ状態と正常な状態を一定期間の周期で行ったり来たりします。これによって、症状が長引くこともしばしばです。
双極性障害
躁状態とうつ状態を一定期間の周期で繰り返すものです。躁のときは異常に気分が高揚し、意欲が高まった状態になり、休まず動き回ったります。躁状態とうつ状態を繰り返す周期は、人によってさまざまです。
老年期うつ病
原因はいろいろですが、高齢者は体力の衰えや親しい人が次々と亡くなったりと、喪失感をきっかけに発症することが多いといわれます。
症状は、憂うつな気分になり、何もする気がなくなる、長く続く不眠といったことが起きます。また物覚えが悪くなり、自発性がなく、他人に対して無関心となるため、認知症と紛らわしい症状も見られます。
季節性うつ病
季節性うつ病の多くは、秋から冬にかけて症状が現れる「冬季うつ病」です。他のうつ病と違い、その季節が終わると症状はよくなります。これは日照が深く関係していると考えられていて、冬は、他の季節に比べて日照時間が短くなります。とくに、緯度の高い(=日照時間が短い)地方ほど多くなる傾向にあるようです。
主な症状は、無気力感に襲われる・睡眠時間が長くなり、眠くてたまらない・とにかく食べたい・著しい体重の増加があります。
からだの病気が原因のうつ病
うつ病は生活環境などによるストレスだけが原因で発症するわけではなく、糖尿病や高血圧、リウマチなど慢性的な病気が、治療や日常生活の管理、治療費の負担などのストレスをもたらし、時にうつ病になることがあります。「病気だから・・・」とあきらめてしまうと、基礎疾患に対する治療意欲の低下にもつながるり悪循環となります。
うつ病になりやすい病気には、以下のようなものがあります。
神経や脳の病気 | パーキンソン病、脳血管障害(脳卒中・脳梗塞など)、脳腫瘍など |
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内分泌の病気 | 甲状腺機能低下症または亢進症、副腎皮質機能低下症または亢進症など |
自己免疫の病気 | 関節リウマチ、ベーチェット病など |
その他 | 糖尿病、心筋梗塞、がん、血液透析、AIDSなど |
最後に・・・
うつ病になったからといって、悲観的になることはありません。正しく理解し、治療を受ければ、治る確率の高い病気なのです。症状が一進一退するため、治療が長期にわたることもあります。ですが、気になること、わからないことは何でも医師に相談し、不安や不満を残さないようにしましょう。また、うつ病の治療には、患者さんのご家族の理解と協力が必要です。ご家族も「どのように接すれば良いのか」「こんなときはどうしたら良いのか」と悩むことも多いでしょう。そんなときも、遠慮なくご相談ください。